
2025年7月に行われた日本語能力試験のデータ(速報値)が国際交流基金から発表されました。前年同月の試験と比べ、応募者は全体で約15%増加しました。また、2025年12月の試験から、成績書類にCEFRの参考表示が付くようになります。
7月の日本語能力試験の応募者数は過去最多に
2025年7月の日本語能力試験の応募者総数は、911,918人でした。これは、対前年同月比で14.9%の増加になり、7月試験としては過去最多になります。
そのうち、海外の応募者は560,148人で同10.7%増加、国内の応募者は351,770人で同22.3%の増加でした。
海外も国内も応募者数が増加していますが、特に国内での応募者数の増加が目立ちます。直近の応募者数の増加率を見ると、コロナ禍以降、海外での応募者数が急激に増加し、その後は国内の増加率が海外の増加率を上回っていることがわかります。
2024年12月:前年同月増加率+18.2%(海外+7.3%、国内+40.3%)
2024年7月:前年同月増加率+13.7%(海外+4.5%、国内+34.5%)
2023年12月:前年同月増加率+54.6%(海外+78.8%、国内+21.4%)
2023年7月:前年同月増加率+63.8%(海外+80.8%、国内+34.9%)
海外の日本語学習者の裾野の広がり
海外の応募者を国・地域別に見ると、
1位:中国
2位:ミャンマー
3位:韓国
となっています。このトップ3カ国・地域は、ここ2年ほど順位の変動がありません。
レベル別の応募者数を見ると、海外ではN5の応募者の増加率が19.1%と最も多くなっている一方、N1の応募者は-5.9%と減少しています。海外で日本語を学び始める人が増えていることが、この数字から見て取れます。一方、国内ではN3の応募者が33.5%と大きく増加しています。
CEFRの参考表示
2025年12月の日本語能力試験から、成績書類にCEFRの参考表示を追加されます。CFERはさまざまな国・地域で言語レベルを示す共通指標として用いられているため、CEFRの参考表示がされることで、日本語能力試験の結果を国際的な枠組みであるCEFRに当てはめて参考にできるようになります。
CEFRの参考表示は、以下のように行われます。
①日本語能力試験の各レベルの合格者だけに表示されます。
②日本語能力試験の各レベルの総合得点に対応したCEFRレベルが参考表示されます。
具体的には、
N5では、総合得点80点以上はA1レベルと表示されます。
N4では、総合得点90点以上はA2レベルと表示されます。
N3では、総合得点95~103点はA2レベル、104点以上はB1レベルと表示されます。
N2では、総合得点90~111点はB1レベル、112点以上はB2レベルと表示されます。
N1では、総合得点100~141点はB2レベル、142点以上はC1レベルと表示されます。
③CEFRレベルでは、日本語能力試験で測っている能力について、参考表示されます。
日本語能力試験で測る「言語知識」「読解」「聴解」は、CEFRの「言語能力」と「受容活動能力」に当たります。日本語能力試験で測定していない「産出活動(話す・書く)」「やりとり」などの能力は含まれていません。
2025年の第2回日本語能力試験は2025年12月7日(日)に行われます。出願受付は、2025年8月18日(月)から始まります。
なお、7月の速報値やCEFRのレベル参考表示の詳細はこちらをご覧ください。
執筆:新城宏治
株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。



