
令和7年度の日本語教員試験の実施結果が発表されました。日本語教員試験は今回が2回目の試験ということもあり、その結果が注目されていましたが、令和6年度の試験から合格率の大きな変化がありました。
令和7年度日本語教員試験の実施結果
令和7年度日本語教員試験の実施結果は以下のようになりました。また、昨年の令和6年度と比較して見てみましょう。( )は令和6年度の数値です。
受験者:17,597人(17,655人)
合格者:11,876人(11,051人)
合格率:67.5%(62.6%)
なお、この「合格者」には経過措置による全試験免除者(つまり、全く試験を受けていない人)を含んでいますが、この全試験免除者は2,852人(5,958人)でした。全試験免除者の対象者は、日本語教員試験開始以降、順次出願から合格の手続きを済ませていると思われるため、今後も年々少なくなると思われます。
試験ルートと養成機関ルート
日本語教員試験の資格を取得するには、試験ルートと養成機関ルートがあります。養成機関ルートでは、登録日本語教員養成機関の修了者(注)は、基礎試験が免除されます。
【試験ルート】
受験者:3,538人(3,681人)
基礎試験合格者:1,309人(323人)
応用試験合格者:1,269人(322人)
合格率:35.9%(8.7%)
令和7年度の試験ルートの基礎試験の合格率が35.9%と大幅に増加しました。これは、令和7年度の基礎試験が令和6年度に比べて相対的に易しくなったためと思われます。
【養成機関ルート】
受験者:2,409人
合格者:1,686人
合格率:70.0%
養成機関ルートは令和7年度が初めてになりますので、令和6年度の参考数値はありません。
(注)応用試験の受験に当たっては、修了見込みでも可能とし、登録日本語教員の登録までに修了を求めることを想定。
経過措置による受験者
経過措置とは、現職の日本語教師や、過去に日本語教師養成講座を修了したり、日本語教育能力検定試験に合格したりした人などを対象に設けられた5年間の優遇措置です。さまざまなルートがありますが、オンライン講習を修了することなどを条件に、基礎試験や応用試験、実践研修などが免除されます。
ここでは試験免除の有無によって、以下の3パターンに整理します。
1.C、Dルート:基礎試験が免除され、応用試験だけ受験した人
受験者:8,540人(7,750人) 合格者:5,983人(4,727人) 合格率:70.1%(61.0%)
2.Eルート:基礎試験も応用試験も免除された人
受験者(出願者):2,852人(5,958人)
3.Fルート:試験免除がなく、基礎試験も応用試験も受験した人
受験者:258人(266人) 合格者:87人(44人) 合格率:33.3%(16.5%)
基礎試験と応用試験の易化
令和6年度の日本語教員試験は初めての実施ということもあり、出願面、運営面、試験内容などについて、受験者からネットなどを通じてさまざまな意見が出されました。その中で、大きなトピックの一つとなったのが、「基礎試験が難し過ぎたのではないか」という意見です。
令和6年度の基礎試験の合格率は9.3%、10人に1人も突破できないという難関でした。さらに、基礎試験に合格すればほとんど全員が応用試験にも合格するというアンバランスな結果になりました。これに対しては「必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があること」という高い合格基準の適否に加えて、問題自体が「日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能を区分ごとに出題」という基礎試験の範疇を超えていなかったのかという疑問の声があがりました。
しかしながら、令和7年度からは、合格基準に「必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割程度の得点があり、かつ総合得点で8割程度の得点があること」と、「程度」という文言が加わることで合否判断に裁量の余地を残し、また両年を受験した受験者の声を聞く限り、問題自体も令和6年度に比べ基礎的でオーソドックスな出題が多かったようです。
一方、応用試験はどうだったのでしょうか。
本試験終了後すぐには、応用試験に対して受験者からは、「現職者有利の問題が多かった」「現場対応力を求められる問題が多かった」「聴解試験では1回の音声で正解を選ぶ判断力が求められた」など、難しかったという声が多く聞かれました。
しかしながら結果を見ると、基礎試験が免除され応用試験のみを受験した養成機関ルートの合格率は70.0%でした。C、Dルート、つまり応用試験のみの受験者の合格率も令和6年度61.0%→令和7年度70.1%と上がりました。また、経過措置では現職者が対象のDルート、現職者に限らないCルート、現職者ではない養成機関ルートの応用試験の合格率があまり変わらないことから、必ずしも現職者有利とは言えない結果が出ました。
応用試験の出題内容は、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定するため、教育実践と関連させて出題する。応用試験の一部は聴解問題とし、日本語学習者の発話や教室での教員とのやりとりなどの音声を用いて、実際の教育実践に即した問題を出題し、問題解決能力を測定する、とされています。
つまり、基礎試験も応用試験も、事前に試験案内に明示されている本来の出題内容に沿ったものになったのではないかと思われます。令和8年度に日本語教員試験を受験される方は、今回の令和7年度の試験結果を参考にしながら、早めにそして計画的に準備をされることをお勧めします。
執筆:新城宏治
株式会社エンガワ代表取締役。NPO法人国際教育振興協会 日本語教師ネットワーク機構代表理事。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。




