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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教育能力検定試験がCBT方式へ移行 

令和8年度より、日本語教育能力検定試験がCBT(Computer Based Testing)方式へ移行することが発表されました。日本語教員試験もCBT化に向けた試行試験が実施されることになっており、日本語学習者向けのJFT-Basicを含め、日本語教育関連の試験においてCBTの方格的な導入が進みつつあります。 

紙媒体による試験は終了 

日本語教育能力検定試験は、1987年度の開始以来約40年近い歴史があります。最も多いときには、2019~21年度に9000人を超える受験者がいました。日本語教師に必要とされる基礎的・基本的な知識および能力を測る試験として、これまで多くの日本語教師がこの試験に合格し、日本語教師としてのキャリアをスタートさせてきました。 

主催団体である公益財団法人 日本国際支援協会によれば、CBT化による試験は2026年内(12月目途)開始を予定しているとのことです。また、CBT方式の開始に伴い、紙媒体による試験は終了となります。 

試験の目的、水準、出題範囲などは、現行の試験から変更はありません。 

広がるCBT方式

CBT方式は既にさまざまな試験で取り入れられています。 

語学系では、日本漢字能力検定(漢検)や、実用英語検定(英検)などがCBT方式を取り入れています。また、OECD(経済開発協力機構)が行う世界的な学力調査である「PISA(Programme for International Student Assessment)」も、2025年からCBTが導入されています。 

日本語教員試験もCBT化の準備が進んでいます。

2025年補正予算に、日本語教員試験のCBT化に向けた試行試験を行うための予算が1億円計上されてます。

試行試験がどのような形で行われるのか、またいつから本格的にCBTがスタートするのかなどは現時点では不明ですが、日本語教員試験がCBT化の方向に向けて動いていることは間違いないようです。

 CBT方式が導入される背景としては、運営側・受験者側双方に以下のようなメリットがあることが考えられます。 

運営側のメリットとしては、業務やコストの削減(会場や試験官の確保、問題用紙や解答用紙の印刷や配送・回収)、不正防止による公平性の確保(試験中の監視カメラ)、(採点ミスがなく、結果が出るまでの時間が短縮できる)などがあります。  

都合のいい日に都合のいい会場で受験可能に 

一方、受験者側にはどのようなメリットがあるでしょうか。 

CBT方式では、受験者が都合のいい日時や試験会場を事前に予約し、受験するという流れになります。受験者が日時や会場を選べるのが、CBT方式の最大のメリットです。

これまでのように、決まった「受験日」に一斉に同じ「受験会場」に行って受験するという形ではなくなります。受験会場としては全国47都道府県に設置されているテストセンター(約150会場を予定)での受験が可能になります。 

これは特に、大都市圏以外にお住いの受験者にとっては朗報でしょう。ちなみに令和7年度の日本語教育能力検定試験の会場は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡の7地区でした。これらの会場から離れているところにお住まいの方は、非常に受験がしやすくなるでしょう。 

また、受験後、一定期間を空けることで、年に複数回受験することも可能になります。 

CBT方式で変わること 

CBT方式になって大きく変わるのは受験スタイルです。これまでは大学などの大教室で、紙と鉛筆を使って受験していたものが、テストセンターの個別ブースで、パソコンのモニターに向かって受験するスタイルになります。 

入力はキーボードを用いることになるでしょう。そうなると、日頃、あまりパソコンを使っていない人は、やや戸惑いがあるかもしれません。 

特に日本語教育能力検定試験は、試験Ⅲの最後に記述式試験があります。これがどのような扱いになるのかは大きなポイントです。また、通常、問題は問題ごとにモニター画面に映し出されます。問題を個別に集中して解くのにはいいのですが、例えば問題の全体像を見渡したりすることは、若干難しくなると思われます。紙の試験であれば、余白にあれこれメモを書き込んだり、印を付けたりすることも可能ですが、CBT方式の場合、そのようなことがどのぐらいできるのか気になります。 

実施要項は2026年6月頃に公表予定 

なお、日本語教育能力検定試験の合格は、公立学校の教員や日本語教育支援員、地方公共団体の地域日本語教育コーディネーターや日本語学習支援者、国際交流基金が海外に派遣する日本語の講師等やJICA海外協力隊の日本語教育隊員など、さまざまな場面で応募要件や採用時の加点要素などとして活用されています。 

CBT方式の試験の実施要項は令和8年6月頃に公表する予定とのことです。また、申込方法などの詳細については、令和8年8月以降、日本語教育能力検定試験のHP (https://www.jees.or.jp/jltct/)にて随時お知らせするとのことです。 

詳細についての続報を待ちたいと思います。 

執筆:新城宏治 

株式会社エンガワ代表取締役。NPO法人国際教育振興協会 日本語教師ネットワーク機構代表理事。高崎健康福祉大学非常勤講師。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。