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令和8年度日本語教員試験攻略法~基礎試験編

令和8年度の日本語教員試験は令和8年11月8日(日)に実施されます。日本語教員試験は、試験ルート、養成機関ルート、そして経過措置に伴う各種ルートがあります。この中で、今回は試験ルートの攻略法を考えます。合格のカギは基礎試験にあります。

令和7年度の試験結果から見えてきたもの

日本語教員試験はこれまで、令和6年度と令和7年度の2回、試験が行われました。

1回目の試験である令和6年度の試験は、試験ルートの合格率は8.7%という極めて低いものでした。そして不合格者のほとんどが、基礎試験で合格率に達することができませんでした(基礎試験不合格者は応用試験を受験しても採点されません)。

2回目の試験である前回の令和7年度の試験は、試験ルートの合格率は35.9%と上昇しました。とは言え、3人に1人しか合格しないわけですから、狭き門であることに変わりはありません。ここで、令和7年度の試験ルートの試験結果の詳細を確認してみましょう。

受験者:3,538人

基礎試験合格者:1,309人

応用試験合格者:1,269人

合格率:35.9%

ここで注目したいのは、基礎試験に合格した1,309人の中で、応用試験に合格したのは1,269人、つまり、基礎試験に合格した人の中の応用試験合格率は96.9%と極めて高いことです。基礎試験に合格して応用試験に不合格だった人は、わずか40人でした。

令和6年度より令和7年度の基礎試験は易しくなったと言われているとはいえ、相変わらず基礎試験突破が最大のカギであることに変わりはありません。逆に言えば、基礎試験に合格できる力があれば、応用試験に合格できる(つまり日本語教員試験に合格できる)可能性は、極めて高くなります。

合格基準の2つの高いハードル

それでは、なぜそれほど基礎試験の合格率は低いのでしょうか。その大きな理由は、合格基準の2つのハードルにあります。

基礎試験の合格基準は、

  • 必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割程度の得点があり
  • かつ総合得点で8割程度の得点があること。

とされています。

①と②の両方を満たさなければ合格できません。各区分で平均的に得点が取れていたとしても総合得点が8割に達しなければ不合格になり、また総合得点で8割取れていたとしてもどれか1つの区分が6割以下であれば不合格になります。これは二重のハードルです。令和7年度の試験では、このどちらかのハードルに引っかかってしまった人が多数いました。

基礎試験は区分ごとの出題割合が明示されていますが、令和7年度の各区分の実際の合計点と合格基準点は以下の通りでした。

  • 社会・文化・地域 12点 合格基準点:7点
  • 言語と社会 12点 合格基準点:7点
  • 言語と心理 12点 合格基準点:7点
  • 言語と教育 34点 合格基準点:20点
  • 言語 30点 合格基準点:18点

出題割合の高い「言語と教育」や「言語」で点数を稼がなければ総合得点は8割に達しませんが、出題割合の低い「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」は、7点取れなければ不合格、換言すれば6問落とした時点で不合格となります。

基礎試験を突破するために

こうして見てみると、試験ルートで合格するためには、まず何よりも基礎試験対策が重要になることがわかります。

基礎試験で総合得点を8割取るというのは高いハードルです。どんな試験でも綿密に計画・準備をして、完全に対策をやり終えたと実感できるぐらいでなければ、8割を取るのは難しいでしょう。実際の試験では予想外の出題があったり、問題文の読み間違いやケアレスミスが多少はあったりするものです。それらを差し引いても8割以上取れるように準備しておくことが大切です。

また、全区分において「穴がない」ということも大切です。出題範囲は膨大ですが、出題比率の高い区分の対策に優先的に時間を割くとしても、出題比率の低い区分も決しておろそかにはできません。

勉強をしながら、分からなかったところ、疑問に思ったところは徹底的に調べ、貪欲に知識を増やす姿勢が大切です。「どこかに書いてあった」「何かの本で読んだ」といった記憶が、試験本番では往々にして力を発揮するものです。

基礎試験に合格することは決して無理なことではありません。計画的に、漏れなく無駄なく準備を進め、一つ一つの項目の内容をコツコツと着実に押さえることが大切です。

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。NPO法人国際教育振興協会 日本語教師ネットワーク機構代表理事。高崎健康福祉大学非常勤講師。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。

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