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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

令和7年度日本語教員試験 時事問題対策

令和7年度日本語教員試験の試験日が近づいてきました。受験される方は、準備は順調に進んでいますか? 出題範囲である必須の50項目などの対策が一通り済んだら、世界や日本国内の日本語教育の現状を示す数値など、最後に時事問題についてチェックしておきましょう。

時事問題の注意

時事問題の対策で行政機関などから発表された統計などをチェックする際に、注意点が一つあります。それは、いつの統計をチェックするかということです。

もちろん、あまり古い時代の統計数値が聞かれることはありませんが、ここ数カ月以内に発表されたものから出題されることも、まずありません。なぜならば、国家試験でもある日本語教員試験の問題は時間的な余裕を持って作成され、慎重に校正などがなされていると思われるからです。つまり、その最新統計が発表された時点では、試験問題は既に出来上がっていると思われます。

そこで、ここでは最新の統計数値と一つ前の統計数値を両方を挙げておきます。

海外の日本語教育

海外の日本語教育のデータの基になるのは、国際交流基金が発表している「海外日本語教育機関調査」です。最新のデータは2025年9月に発表された2024年度調査ですので、ここでは2021年度調査からの方が出題されやすいでしょう。なお試験において細かい正確な数字が聞かれるわけではないことから、数字は概数で出してあります(以下同)。

2021年度/2024年度

・日本語教育実施国・地域:141カ国・地域/143カ国・地域

・機関:1.8万機関/1.9万機関、教師:7.5万人/8.1万人、学習者:380万人/400万人

・国別学習者数順位:中国、インドネシア、韓国、オーストラリア、タイの順 ※2021年と2024年で変わらず

・地域別学習者数:東アジアと東南アジアで全体の約80% ※2021年と2024年で変わらず

・学習段階別学習者数:中等教育機関が全体の約50% ※2021年と2024年で変わらず

・学習目的:1)日本語そのものへの興味、2)アニメ・マンガ等への興味、3)歴史・文学等への関心 ※2021年と2024年では1)と2)が逆転。2024年は「アニメ・マンガ等への興味」が1位に

日本国内の日本語教育

日本国内の日本語教育のデータの基になるのは、2024年までは文化庁が、2025年からは文部科学省が発表している「日本語教育実態調査」です。最新のデータは2025年9月に発表された令和5年度調査ですので、ここでは令和4年度調査からの方が出題されやすいでしょう。

令和4年度/令和5年度

・機関:0.28万機関/0.27万機関、教師:4.4万人/4.6万人、学習者:22万人/26万人

・日本語教師のうち、ボランティア49%/50%

・国・地域別学習者数:1)中国、2)ベトナム、3)ネパール ※令和4年度と令和5年度では2)と3)が逆転。令和5年度は、ネパールが2位、ベトナムが3位

日本国内の在留外国人数

日本国内の在留外国人数のデータの基になるのは、法務省出入国在留管理庁が発表している「在留外国人統計」です。前年末のデータは毎年3月末に発表になりますので、ここでは令和5年末と令和6年末の両方のデータを押さえておいたほうがいいでしょう。ちなみに、2025年6月末現在のデータも発表されていますが、やや新しいので、ここでは割愛します。

令和5年末/令和6年末

・在留外国人数:341万人/377万人

・国籍・地域別順位:中国、ベトナム、韓国 ※令和5年末と令和6年末で変わらず

・在留資格別順位:永住者、技能実習、技術・人文知識・国際業務、留学 ※令和5年末と令和6年末で変わらず

日本語指導が必要な児童・生徒

日本語指導が必要な児童・生徒数のデータの基になるのは、文部科学省が隔年で行っている調査です。最新のデータは2024年8月に発表された令和5年度調査ですので、ここから出題される可能性は十分にあります。

令和3年度/令和5年度

人数:5.8万人/6.9万人

外国籍:4.8万人/5.8万人

日本国籍:1.0万人/1.1万人

外国籍:母語はポルトガル語が1位 ※令和3年度と令和5年度で変わらず

都道府県では愛知県が1位 ※令和3年度と令和5年度で変わらず

最後に

いよいよ試験本番が近づいてきました。

この時期に大切なのは、何よりも体調管理です。特に10月下旬から全国的に気温が急激に低下しており、インフルエンザの流行も例年より早いペースで進んでいます。試験前に風邪をひいてしまっては、試験で日頃の実力を十分に発揮できないかもしれません。規則正しい生活を送ること、しっかりと栄養のある食事を取ること、睡眠時間を十分に取ることを心がけてください。

皆さんの合格を、心からお祈りしています。

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。