
「基本的な日本語での会話には問題がない」という中・上級の日本語学習者に向けた、新しい会話ワークブックが完成しました。本記事では、本書の特長とポイントについて、紹介していきます。本書の発売に合わせセミナーも開催します。最後に情報を載せていますのでぜひご確認ください。
「学習者自身に本当に必要な語彙・表現」を身に付けよう
日常会話や友達とのおしゃべりは支障なくこなせる日本語学習者が、自分の言いたいことを更に適確に、詳細に、伝わりやすくアウトプットする力を身に付けるために必要なことは何でしょうか。
もちろんJLPTで更に上級とされる語彙や表現を身に付けていくことは、アウトプットの上達につながります。しかし、それで「自分の考えていること」「本当に言いたいこと」をしっかりとアウトプットできるようになるでしょうか。
本書は、日本語の上達はもとより、学習者自身の「本当に言いたい日本語」を伸ばして行くための会話ワークブックです。
最大のポイントは「(思ったほど)うまく言えない自分」を意識すること
人は誰かとコミュニケーションを取るとき、言葉の補足としてジェスチャーなども使いながら、何とかして目の前にいる相手に自分の言いたいことを「伝えよう」とします。すると、話している時に感じた「あれは○○語で何て言うんだろう」「もっといい言い方がある気がするけど思い出せない」といった「つまずき」は、伝えるという目的が達成された瞬間に忘れられてしまい、後にそれを振り返る機会はなかなかありません。
しかし、一人一人の考えや経験にひも付いたこの「つまずき」こそが、より深く記憶に残りやすい学びの宝庫であり、今の自分より一段階成長できる部分なのです。
そこで本書では、各課の始めにテーマについて「まず事前準備なしで意見を述べる」というタスクを行い、そこでどの程度自分が言えたのか、具体的に「〇%」で記録することで「言いたいことが全て言えていない」ということを意識化します。
その上で、自分に必要な言葉や表現を調べたり、テーマに関わるさまざまな資料やコラムを確認したりするタスクを通して「自分の言葉」を増やし、また最後に「〇%」で自己評価します。
このように、数値にすることで、「言いたいことが言えるようになっている自分」を時間できるわけです。

正解のない「14のテーマ」
本書では、学習者たちが自分の母語でもディスカッションできるような、正解(決まった答え)がない、以下の問い(テーマ)が用意されています。
STAGE1は「自分の意見を言うこと」を、STAGE2は、自分の意見も出しつつ、他の人と一緒に「チームとしての意見をまとめること」を最終的な目的としています。
【STAGE1】
1.学校の制服は必要か
2.動物園は必要か
3.選挙の投票に行かない人に罰則は課すべきか
4.ファストフードに酒やたばこのような特別税をかけるべきか
5.ネットの匿名利用を禁止するべきか
6.留学や進学には事前に明確な目的が必要だと思うか
7.住宅地に現れた野生のクマを殺すことに賛成か反対か
8.都会と田舎、どちらに住みたいか
9.「安楽死」に賛成か反対か
10.学校の掃除は児童生徒自身がした方がいいと思うか
【STAGE2】
11.もし1人で1カ月間無人島で過ごすとしたら何を持っていくか
12.5人中、3人だけ漂流した無人島から脱出できるとしたら、誰が残るべきか
13.便利だけど良くないもの/不便だけど有益なものは何か
14.もしタイムマシンで違う時代に行けるとしたら、いつのどの場所に行きたいか
自分のことばが増えるだけでなく、考え自体も深まる
本書はタスクの中で、テーマに関する記事や調査結果など、様々な資料を目にし、他の人と意見の交換を行います。それらはもちろん「自分が言いたいことを言うために必要な言葉や表現を増やすこと」が目的ですが、その過程において、それまで自分が見てきたものとは異なる情報、考えていたこととは異なる意見に触れ、自分自身の視野も拡がり、考えも深まることでしょう。
本書を使って、ぜひもう一歩上のアウトプットができるようになってください!
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言いたいのにうまく言えない! つまずきの意識化から始める会話授業 『「言える!」が増える 日本語会話ワークブック』を使って
日時:2025年11月14日(金)20時~21時半
講師:佐藤淳子(『「言える!」が増える 日本語会話ワークブック』著者)
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