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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

特定技能1号と日本語基礎テスト

2018年の入管法改正により、在留資格「特定技能」が創設され、「特定技能1号」の資格要件としての日本語力の測る試験として国際交流基金日本語基礎テスト(以下、JFT-Basic)が開発されました。2019年4月にフィリピンで初めてJFT-Basicが実施されて以降、その受験者は年々増えてきています。ここでは、JFT-Basicの現状についてまとめます。

JFT-Basicの受験者が急増

国際交流基金のJFT-Basicのホームページでは、1~2カ月単位実施概要報告が公開されています。まず、受験者数です。2023年の数字と2024年の数字を比較してみます。

実施月 2023年→2024年

5-6月:14,430人→24,415人(+69%)

7-8月:12,329人→24,296人(+97%)

8-9月:13,722人→25,922人(+89%)

10-11月:19,820人→31,193人(+57%)

※8月が重なっているのは、2024年であれば、8月8日までと8月20日以降に分けて集計されているためです。

数字を見てみると、月によっては前年の2倍近く増えている月もあり、受験者が急増していることがわかります。2024年10-11月は、試験開始以来はじめて受験者が3万人を超えました。

インドネシアの受験者が最多

次に2024年の国別で受験者数の多い3カ国を挙げてみます。

2024年5-6月:インドネシア(8,135人)、ミャンマー(6,128人)、ネパール(2,870人)

2024年7-8月:インドネシア(11,536人)、ミャンマー(4,402人)、ネパール(3,076人)

2024年8-9月:インドネシア(13,898人)、ネパール(3,807人)、ミャンマー(3,225人)

2024年10-11月:インドネシア(16,417人)、ミャンマー(4,784人)、ネパール(4,093人)

数字を見れば一目瞭然ですが、インドネシアの受験者が圧倒的に多く、またかなりの勢いで増えていることもわかります。ミャンマーとネパールがほぼ同じぐらいの規模で次につけており、この順位は時々入れ替わります。

基準点到達率も増加傾向

JFT-BasicはCEFRのA2レベルの日本語力があるかどうか測定します。この基準点到達率を比較すると、次のようになりました。

実施月 2023年→2024年

5-6月:44.7%→45.5%(+0.8%)

7-8月:45.2%→47.0%(+1.8%)

8-9月:42.1%→43.6%(+1.5%)

10-11月:40.3%→48.2%(+7.9%)

全ての月で前年の基準点到達率を上回っており、受験者の日本語力のレベルが上がっていると思われるのは、喜ばしいことだと思います。

ただし、これも国によってかなりの開きがあります。2024年10-11月の試験で平均の48.2%を上回っているのは、受験者の少ない国も含みますが、タイ(60.4%)、ウズベキスタン(57.1%)、インドネシア(56.3%)などです。その一方、20~30%台という国もあり、何らかの手当てがあればとも思います。

JFT-Basicの特色と内容

JFT-Basicの大きな特色は、この試験はCBT(Computer Based Testing)、つまり試験会場でコンピュータを使用して出題、解答する形を採用しているということです。

そのため、採点などに時間がかかわらず、テスト終了時の画面に総合得点と判定結果がすぐに表示されます。つまり、試験終了後すぐに合否がわかります。また、受験後5営業日以内に、予約ウェブサイトにログインすると、判定結果通知書が表示され、ビザの申請などに使用することができます。

また、例え不合格だったとしても、前回の試験から45日間を空ければ、試験を受け直すこともできます。受験者にとっては受験機会も多く、非常に受験しやすい試験になっていると言えるでしょう。

また、JFT-Basicの試験時間は60分で、試験は以下の4つのセクションから構成されています。

・文字と語彙(約12問)
・会話と表現(約12問)
・聴解(約12問)
・読解(約12問)

今後特に就労分野の認定日本語教育機関で教えるような教師は、JFT-Basicについての基本的な事柄を押さえておいたほうがいいでしょう。国際交流基金のホームページでは、サンプル問題なども見ることができます。

国際交流基金 日本語基礎テスト(JFT-Basic)

https://www.jpf.go.jp/jft-basic/

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。NPO法人国際教育振興協会 日本語教師ネットワーク機構代表理事。高崎健康福祉大学非常勤講師。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。