
日本語教育機関認定法をめぐる動き、とりわけ日本語教師に影響が大きい、日本語教員試験や日本語教育能力検定試験、認定日本語教育機関、登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関についての2025年1月時点の状況を整理しておきます。
日本語教員試験や日本語教育能力検定試験について
多くの日本語教師の皆さんにとって気になるのは、日本語教育機関認定法をめぐる動き、とりわけ日本語教員試験についての情報ではないでしょうか。
2024年11月17日に行われた令和6年度日本語教員試験は、経過措置による全試験免除者を含め17,655人が受験し、11,051人が合格しました。東京会場では音量調整トラブルにより影響を受けた受験者が、また北海道会場ではJR函館線での列車運休により受験困難となった受験者が再試験の対象になるなどの混乱もありましたが、令和6年度の試験は終了しました。
令和7年度の日本語教員試験の実施は「秋頃」、出願受付は「夏頃」とされており、令和7年度の詳細はまだ発表されていません。令和6年度の場合、実施要項の公表が5月下旬、受験案内の公表が6月下旬でしたので、そのぐらいになれば詳細がわかるのではないかと思います。当初より話のあった、年複数回の試験実施やCBT方式の導入などについても、具体的な話は出ていません。
もう一つ気になるのが、日本語教育能力検定試験の動向についてです。こちらも主催団体のホームページには「令和7年度の実施要項は、決まり次第公表します」とだけ掲載されており、詳細は現時点では不明です。
日本語教育機関の認定について
経過措置の一部のルートを除き、日本語教員試験は登録日本語教員になるための合格が必須の試験であり、登録日本語教員になることにより認定日本語教育機関で教えることができるようになります。
登録日本語教員の「出口」である認定日本語教育機関の1回目の認定結果は2024年10月に発表されましたが、結果は以下の通りでした。
・申請機関総数 72件
・認定とした日本語教育機関 22件
・不認定とした日本語教育機関 3件
・審査中に取下げを行った日本語教育機関 36件
認定日本語教育機関が2025年1月時点ではまだ22件に留まっており、その少なさが気になるところです。
認定日本語教育機関の認定は留学、就労、生活の課程ごとに行われます。このうち、留学の課程の認定を受けた日本語教育機関であることが「留学生を受け入れる要件」になります。つまり、経過措置期間(2024年4月1日~2029年3月31日)が過ぎてしまえば、認定日本語教育機関でなければ留学の在留資格で在留する留学生を受け入れることはできなくなります。
現在、留学の在留資格で在留する留学生を受け入れている日本語学校(法務省告示機関)は2024年2月現在で833校もあり、このペースで認定が進んでいった場合、果たして2029年までに十分な数の留学生を受け入れるだけの認定日本語教育機関が準備できているのか、不安を感じるところです。
登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関について
日本語教師になるための、登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関の登録結果は2024年12月に発表になりました。結果は以下の通りでした。
1.実践研修機関の登録結果
・申請機関総数38件
・登録した実践研修機関34件
・審査中に取下げを行った実践研修機関2件
2.日本語教員養成機関の登録結果
・申請機関総数47件
・登録した日本語教員養成機関40件
・審査中に取下げを行った日本語教員養成機関3件
認定日本語教育機関に比べれば取下げの数は少ないですが、それでも結果を見ると気になることはあります。それは機関の所在地が都市部に偏ってしまっていることです。
日本語を学ぶ学習者は日本全国におり、認定日本語教育機関も全国にできると思われます。その認定日本語教育機関で教えるためには、日本語教員試験に合格し、(養成課程と一体で行われることもありますが)実践研修を受けなければなりません。つまり、一定期間、登録実践研修機関や登録日本語教員養成機関に通わなければならないわけですが、その機関が必ずしも日本語教師志望者の住んでいる都道府県にはない、という事態が出てくることが予想されます。
以上、日本語教育機関認定法をめぐる動きについて2025年1月時点の情報をまとめましたが、今後の日本語教育機関認定法をめぐる動きについては、随時アップデートしていきます。
執筆:新城宏治
株式会社エンガワ代表取締役。NPO法人国際教育振興協会 日本語教師ネットワーク機構代表理事。高崎健康福祉大学・大月短期大学非常勤講師。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。



